唇顎口蓋裂

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唇顎口蓋裂でお悩みの方へ

顎裂の治療について

1.顎裂とは

口唇裂や口唇口蓋裂の患者様には顎裂(歯槽堤の裂)も合併している場合がほとんどです。歯槽部の骨がないために口唇裂の手術が美しく行われても、歯肉に切れ目が残りこれが目立ったり、裂の両隣の歯がまっすぐに生えないなどの問題が生じます。

2.手術(顎裂部の再建術)の目的

口唇の手術にはもともと骨格の再建は必要ありません。口蓋裂には骨の欠損を伴いますが、これを再建しなくても特に困ることはありません。しかし顎裂の手術だけは歯が生える場所であるために骨の再建が必ず必要です。

骨が再建される手術を行うことで歯肉の切れ目が無くなり、もきれいな歯並びが得られます。 歯槽堤の骨がない場合には萌出する場所の無かった犬歯が、再建された歯槽骨の中にきちんと萌出できるようになります。

先天欠損している側切歯に対しては、代わりに人工歯根を打ち込んだり、矯正治療で抜歯される小臼歯を歯槽骨の中に移植して植えたりすることもできますが、通常は中切歯の隣に犬歯を誘導し、ならべることで空隙を埋めてしまいます。

顎裂部に骨がないことはその部分の鼻の形に影響しています。骨の再建をすると鼻孔や鼻翼の基底部が前方に押し出され、左右の差の無いよい形態になります。

3.手術時期

生後6ヶ月

6ヶ月での歯槽堤形成術による骨架橋

6ヶ月での歯槽堤形成術による骨架橋

口唇裂・口蓋裂の手術と同時に顎裂に閉鎖手術を行います。

これにより骨移植を行わなくても歯槽堤の骨新生により顎裂部に骨が再建されます。

口唇口蓋裂児の顎裂部骨欠損の再建には、自家腸骨移植を犬歯が萌出する時期(7〜9歳)に行うことが現在では一般的です。しかし、乳児期に行う初回手術の際に顎裂部の再建を同時に完了してしまえば、従来行われてきた学童期での骨移植手術を受ける必要が無いだけでなく、自分の腰から骨をとられる必要もないため、患児にとって大いなる福音となります。

東海大学では 2001年から顎裂に対し生後6ヶ月での早期閉鎖を行っています。その際、骨移植なしで粘骨膜弁のみでの閉鎖を行うミラード型の歯槽堤形成術(GPP) を用いています。 得られる新生骨は臨床的要求を満たす十分な量ではありませんが、今のところ63%程度の患者さんの顎裂で骨架橋を確認し、将来の骨移植が不要であることを期待しています。

7歳から9歳頃の自己腸骨移植術

8歳での自己腸骨移植前後の歯槽堤

歯槽堤再建後の歯科矯正治療完了時

骨欠損を放置しておくと犬歯が生えることができず、歯列の不整がひどくなります。

犬歯の萌出前に手術を行うのが良いとされています。

従って犬歯萌出直前の小学校2から3年生の時期に夏休みなどを利用して手術が行われるのが一般的です。

最近は手術の影響による上顎骨の発育障害はそれほどでもないことが明らかになったとして、早い時期に手術を行う施設が出てきました。中切歯萌出前の5歳から6歳頃がその時期です。
この方法は犬歯の歯並びだけでなく中切歯の歯並びも自然に良くすることができること、小学校入学前に手術が終わることなどが利点です。
一方、この年齢では腰の骨格がまだ小さいため、移植骨があまり取れないことなどが問題点と云われています。

人工骨や骨髄液を用いた人工骨移植による方法

人工骨と骨髄細胞移植による新生骨

人工骨と骨髄細胞移植による新整骨

最近では、自己腸骨骨髄液を吸引採取し、これを吸収性の人工骨材料などと混合して、顎裂部の移植床に注入するさまざまな方法が研究され、口唇口蓋裂患児への臨床応用の報告あります。 腰から骨を取る必要がありません。
当院でも患者さんの了解と大学の倫理委員会の了承を得た上で手術を行っています。しかしまだ、実験的治療でどの患者さんにも勧められるという方法ではありません。
また健康保険の範囲からはずれてしまいます。